楽に共感できたら立ち止まろう
ペルソナがプロダクトのポテンシャルを奪う危険について考察しました。
プロダクト開発では、「プロダクトを待ち望んでいる誰か」、つまりペルソナを描くことは一般的な手法です。ペルソナはプロダクトへの共感を容易にし、要件の理解を助けるためにとても有効な手法だからです。
しかし、一方で注意しなければならない落とし穴もあります。それは、ペルソナが「思い込みを深める」ための道具となり、「プロダクトのポテンシャル」を静かに奪っていく危険があるという点です。
ありきたりのフレーム
たとえば「中目黒のバー」という言葉を聞いたとき、多くの人は「おしゃれな内装」とか「特定のファッション」を自然に思い浮かべるでしょう。AIに聞いても同じです。これは人間の認知として自然なことなので、このような連想から作られるペルソナは納得感があり、共感しやすいものになります。
この共感が、現実のユーザーを知るための足掛かりとなればよいのですが、あまりに納得感がありすぎる、つまり私たちの思考を怠けさせるようなものであると、ありきたりのプロダクトのためのありきたりのフレームとなります。
ペルソナが空気になる
ある一人が創作したペルソナに、プロジェクトメンバー全員が納得してしまい、それがプロダクトの「空気」になってしまう、そんな状況に注意を払う必要があります。
ペルソナを中心にして話が盛り上がり、チームはとても良い雰囲気になっているでしょう。しかしながら、バイアスと強固に結びついたペルソナが「空気」となり、そのときチームに思考停止を引き起こしていないか、点検が必要なのです。
意識的に共感する
手間をかけて、「意識的に」共感する必要があります。逆に、楽に共感できたときには立ち止まる必要があります。私たちは、「思考の怠惰とひらめきとを区別」する必要があるのです。
共感がプロジェクトを推し進めるうえで不可欠な要素であることは間違いありません。ですから、共感の解像度を意識してあげていくこと、直観・論理・データすべてを活用して「主体的な」共感を持つこと、これが大切です。
安全装置を備える
集団的に納得してしまう、これがチームの結束のように見えてしまうのが怖いです。実は思い込みを深めただけのことかもしれません。そこで、安易に納得しない多様性のあるメンバーたちと一緒に仕事をすることは一種の安全装置になるかもしれません。
また、最初の対策は自分自身の経験を振り返ることです。効率重視で狭めている視野をリセットし、適当に補っていた部分と改めて向き合う、そうすれば、思考の怠惰を追い出すことができるでしょう。
おわりに
チームという安全装置を整備し、意識的に共感できるペルソナを作り、熱意をもってプロジェクトを推進していく。これが強いプロダクトを作るために必要なことだと思います。
- 楽に共感できたら立ち止まろう
- 仮説を立てるときは、あえて反対意見を言おう