「未検証」を「夢」と言い換える
新しいことを始めるとき、プロジェクトの初期フェーズは「未検証」そのものです。だからこそ私たちは動き始めるのですが、組織の中では、「未検証」だからといきなり批判の対象になったりします。ただの言いがかりのようでいて、私はそこに構造的な問題があると思っています。
最初から批判されるプロジェクト
新規事業のような取り組みでは、「未検証」の論点が並ぶのは自然です。これから確かめるべき仮説のはずなのですが、それらが「根拠がない」「思いつき」と整理されてしまうことがあります。検証を通じて確実性に近づこうとしている段階なのに、その試み自体を「利己的だ」と見なし、説明ばかりを求める人も組織には少なからずいます。
推進力と慎重さの分断
未検証の状態から一歩を踏み出すにはそれなりのエネルギーが必要です。しかし、そのエネルギーはしばしば誤解されます。前に進もうとする人が「傲慢」とみなされる一方で、批判的な姿勢だけが「慎重」「思慮深い」と評価されることがあります。こうして、推進力と慎重さが本来の補完関係ではなく対立関係となり、分断が生じます。
リスクの非対称性
その背景には、リスクの非対称性があります。検証するリスク、たとえば時間、コスト、失敗の可能性は見えやすいものですが、一方で、検証しないリスク、つまり機会損失や学習の停滞は見えにくいものです。組織にこの非対称性を補正する働きがなければ、あらゆるアイデアが過小評価され、やがて組織の成長は止まります。
推進力と慎重さをつなぐもの
プロジェクトの中ではさまざまなことが起こります。その時間の流れと「物語」を、リーダーが魅力的に語れるかどうかは重要です。大きな目的と時間軸が共有されないままでは、人は今いる場所から見える景色だけで判断します。そして、その景色の違いが、そのまま相手への批判になります。
分断を解消するには、未来に向かうための言葉が必要です。つまり、「未検証」を「夢」と言い換えられるリーダーこそ、プロジェクトには必要です。
- プロジェクト初期の推進派と慎重派の分断は構造的な問題です
- 今見えている景色で陣取り合戦をしても、前には進めません
- リーダーが物語を語ることで、時間軸が共有され、分断は解消します
最後までお読みいただきありがとうございました。